左から、菊井代表(滋賀)、中田代表(大阪)、川野副会長(兵庫)、深野事務局長(福岡)

日時 : 2026年6月25日(木)~6月27日(土)
会場 : 国立京都国際会館
会長 : 佐治重衡・公立大学法人福島県立医科大学・教授
大会テーマ : 「Think globally, Act locally」

 台風7号、8号が接近する悪天候の中、深野百合子(あけぼの会事務局長)、川野紀子(副会長、兵庫代表)、中田圭子(大阪代表)と私は、8年ぶりに京都で開催された乳癌学会学術総会のBC―PAPに参加しました。
 BC―PAP とはBreast Cancer Patients and Advocates Programの略で、乳がん体験者や家族など、一般の方々を対象に、治療に関する基本から最新の情報までを分かりやすく提供し、患者さん・家族と医療者が、乳がん診療の課題について議論しつつ交流を図る場として企画されたプログラムです。私たちはBC―PAPとそれ以外の講演も聞けて、大会後オンデマンドでも視聴できるコースを申し込みました。

1日目

★会長特別対談 【君たちに伝えたい事 2026 ‘言葉を紡ぐ】

登壇者: 佐治重衡・学術総会会長、中山裕次郎(外科医、小説家)、膳場貴子(キャスター)

 がん患者さんに事実を伝える難しさについて語られました。バッドニュースはストレートには伝えられない。医師として投げっぱなしのインフォームドコンセントは良くない。コンシェルジュのような役割が良い。「最善のカードはこれです」「自分の親だったらこうします」といったように、患者さんに親身に誠実に向き合うことが大切と話され、そうだ!そうあって欲しい!と頷きました。
 また、AIに意思決定は預けない。等、昨今のドクターとAI事情の話もありました。最後に、中山裕次郎先生は「いつ死んでも後悔しないように生きる、ではなく、後悔するように、何かに夢中になって生きることが大事」と。佐治先生は「無事、これ名馬」と。膳場貴子さんは「わからないことはわからないと言う」を大切にしていると話され、示唆多い対談でした。

2日目

 2日目からBC―PAPが始まりました。大阪、兵庫、滋賀、佐賀の【あけぼの会】の会員さんも参加されて大盛況でした。
 プログラムは、「乳がんの手術・放射線治療」 「乳がん周術期の薬物療法」 「乳がん治療と生活の質(QOL)-患者と医療者が一緒に考えるサバイバーシップ」 「腫瘍循環器・高齢者のがん」 「見た目の変化と、どう付き合う?皮膚と爪から考えるアピアランスケア」 「乳がんとAI」 「乳がん治療の経済毒性と時間毒性」と充実した内容です。
 どのセッションも、医師と患者会の方がペアで座長を務めることになっていて、今回の学会会長が福島県立医科大学なので、福島県内の患者会から選ばれた代表がBC-PAPの患者委員5人の1人として大役を務められました。またそれ以外の一般公募から選ばれた患者会からも3人が座長をされました。【あけぼの会】をアピールできる絶好のチャンスに、会から代表を出せなかったことを非常に残念に感じました。
 私はBC―PAPを抜け「遺伝性乳がん」(座長:山内英子先生)へ行きました。
35歳以下発症の乳がん患者の遺伝性腫瘍の関与は20%と高率。BRCA1/2は有名ですが、その他の遺伝子も関与している場合があり、多遺伝子パネル検査について話されました。 遺伝子検査を術前と術後に行った場合のリスク低減手術との関係性の話もあり、若年の乳がん患者に対しての遺伝子検査のタイミングについて考えさせられる興味深い内容でした。
遺伝子検査を受けられる医療機関等、都市部と地方の医療格差がないようにと思いました。
 2日目終了後には軽いお食事と飲み物が出る「全員懇親会」が設けられていて参加しました。舞妓さん、芸子さんもおられ、京都の雰囲気が出されていました。特設ステージでは、衣装やカツラをつけた医療者が歌や踊りを披露され、すごく盛り上がった楽しい一時でした。

3日目

最終日は「乳がん再発転移後の薬物治療」から始まりました。HER2陽性乳がんの方でエンハーツ(日本が開発をした薬剤)を使っている会員さんがおられますが、その対象が、HER2が少しだけ認められる乳がんにも広がっているようです。副作用の一つ間質性肺炎ですが、海外に比べて日本人に多いようです。空咳や息苦しい等の症状は臆せず主治医に伝えることが大事だと言われていました。
 治療がエンドレスになることで起こる不具合について、医師と患者がお互いの思いを共有することがとても重要と話されました。新薬の紹介もあり、希望を感じました。
その後は患者経験を活かす「安全なピアサポートを行うための知識を身につけよう」 「患者さんの(声)ではぐくむ乳がん治療」と続き、最後のワークショップは、ワークショップ学びの広場「みんなで読んでみよう 初めてのレイサマリーでした。
 「レイサマリー」とは臨床試験に参加してくれた患者さんに臨床試験の結果を報告するものです。ステージ4と診断された方の乳房切除について作成されたレイサマリーについて、グループに分かれ検討し、発表しました。臨床試験について多くを学べた有意義な時間でした。

 今、私たちが受けている乳がん治療は長年に亘って行われている臨床研究や臨床試験、治験の結果がエビデンスとなって確立され、臨床に繋がっているということを実感しました。  そして、今も多くの臨床試験や治験が走っていて、その途中結果の話も聞くことができました。それらがより負担の少ない、生存に結びつく治療に繋がることを期待したいと思いました。

 私が乳がんと診断されて33年。乳癌学会が創立されて34年。まさにその恩恵に預かって今私は生きている。これまでの研究に、医療者の方々に“有り難いことです”と感謝の気持ちが湧いてきました。来年は熊本で開催されます。またこの目で、耳で、頭で、乳がん治療の進歩を実感したいと思いました。みなさん、「くまモン」に会いに行きましょう。是非!!

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